戦争がなかったら〜3人の子どもたち10年の物語〜(ポプラ社)著者・高橋邦典
西アフリカにあるリベリア共和国で1989年から断続的に続く内戦に巻き込まれた子どもたち。2003年に終わりをむかえた内戦の後、子どもたちの10年のお話。
六歳の時に砲弾で怪我を負った直後、写真家の高橋邦典さんに出会ったことで一命をとりとめ、右手を失いながらも明るく生きる少女。
内戦終結の翌年、将来何になりたいかを尋ねられたとき『お医者さんになって、注射をうって病気の人をたくさん治してあげたいな』と言っていた彼女に、9年後同じ質問をしたそうです。
『ゴスペルの歌手か、医者になりたいわ』
『音楽には特別な力があるわ。病んだ人さえもいやす力が。たくさんのすばらしい歌を歌える歌手になりたい。私の歌で傷をいやし、盲目の人にさえ光をあたえられるような』
この言葉を読んだ時、胸が熱くなりました。『音楽は感動をもたらすけれど、本当に困った時に人の助けになるのだろうか?』という疑問をいつも持っていた私の、その疑問を拭い去ってくれました。
辛い思いをたくさん味わったであろう彼女の言葉だから、説得力を持っているのだろうと思います。
今の私には『人の為に』なんて出来ないけれど、いつかは役に立てるのかもしれないという希望が遠くの方でキラリと光ったような気がしました。
SAYO